配当月になるとよく目にする「配当金はおこづかい」というワード
株式投資から得られる配当金はおこづかいになりえるのでしょうか?
また、株主優待はお得な節約術になりえるのでしょうか?
図解とともに考えてみます。
配当金はおこづかいと呼べるもの?
結論から言ってしまえば、配当金はおこづかいとは言えません。
あくまで投資した株式から得たリターンの一部であって、天から降ってきたお金ではありません。
配当金には配当落ちという、理論上は株価が下がる特性がついてまわります。
つまり、おこづかいをもらうたびに保有している株式の評価額が下がる状態
資産配分でいうところのリスク資産の比率が下がることになります。
投資しているリスク資産の配分を減らしてまでお金が必要、ということは、リスク許容度を無視して不必要にリスク資産を使っているだけとも。
そもそもおこづかいが必要?
そもそも論ですが、大人におこづかいは必要なのかと。
投資をしているということは「収入があり余剰資金もあり、生活には困っていない状態」とも言えます。
ということは、おこづかいが必要なら余剰資金から使ってしまえば良いだけの話です。
それをわざわざリスクを取ってまで、配当金という形で受け取る必要があるのかどうか。
投資のリターンはインカムとキャピタルのトータルで考えるべき
投資のリターンは大きくわけて2種類あります。
- キャピタルゲイン(売買差益)
- インカムゲイン(配当金)
このうちインカムゲインである配当金をことさらありがたがる意味はありません。
この2種類のリターンは、株価に織り込み済みです。
簡単に言えば、「この株式はこれぐらいのリターンが見込めるから、このぐらいの価格が順当」と考える投資家たちの需要と供給により決まっているようなもの。(実際はかなり複雑で、こんな単純な話ではないですが…)
その判断課程において、リターンの一部である配当金の存在だってもちろん考慮されています。
もし考慮されていなければ、「配当金の権利落ち日に株式を購入し、配当金の権利落ち日直前で売り抜けることで、インカムゲイン(配当金)をもらうよりもキャピタルゲイン(売買差益)をもらうことの方が儲かる」という事態が起きてしまい、誰でも簡単にお金持ちになれる世界になります。
これは優待株であっても同じです。
権利落ち日前後の株価の変動を利用して、株主優待だけをゲットするクロス取引というものがありますが、常にクロス取引用の資金を潤沢に用意しておく必要があり、キャピタルゲインを得る機会を自ら手放しているともいえます。
つまり、「お得な」取引などではありません。
例えばですが、👇の図のように株価がキレイに右肩上がりになるようであれば、半永久的に上手く行くこともあるでしょう。
こんな楽なチャートが「あれば」の話ですが…。
配当金や株主優待を羨ましがる必要はない
インデックス投資を始めたばかりの頃は、配当金や優待の仕組みがよくわからず羨ましく思うこともありました。
インデックス投資を続けながら投資について少しずつ学んだ結果、投資が仕事でも趣味でもない我が家に高配当株投資や優待株投資は必要ない、との結論に至りました。
「おこづかいが欲しいから配当株投資をする!」
このように考えて、自分の大事な資産を投資のリスクにさらす必要は本当に必要なのか?
家計の収入と支出のバランスを見て、必要なモノやコトに必要な分のお金を使うだけ。
特に難しいことをする必要はなく、これだけでイマの生活は良くなること間違いなしです。
いつも
読んでくれて
ありがとう!
【参考】もし、配当株投資や優待株投資に興味があるなら、一度は目を通しておきたい配当落ちに関する研究論文
「個人投資家と株式市場の効率性―配当と株主優待の権利落ちに関する考察―」
早稲田大学 学部生の部優勝
https://www.waseda.jp/fcom/riba/assets/uploads/2019/04/42_5.pdf(PDFが開きます)