昨今の投資ブームではTwitterやブログで配当金投資を発信して、そのまま書籍の発売までされたインフルエンサーの方が多く出てきています。
それに伴い、「配当金生活でFIRE」といった考えも多く、配当金投資熱が高まっています。
わたし自身も不労所得という言葉に魅了され配当金生活とはどんなものなのかと、インフルエンサーの方の本を何冊か読みました。
本記事では普通の人にとってインフルエンサーが実践する高配当株投資は再現性があるのかどうかを中心に考えを巡らせていきます。
【結論】お金持ちの人が高配当株投資をしているだけで、高配当株投資でお金持ちになれるわけではない
先に結論を述べます。
高配当株投資インフルエンサーの方々は高収入&倹約家であり、運用資産のほとんどはその高収入からの入金によるものである。
高配当株投資インフルエンサーの人は多くの投資手法の中から高配当株投資を選択しただけであり、高配当株投資自体が多くのお金を生み出しているわけではない。
これが結論です。
配当金生活の本の表紙や見出しなどを見ると、あたかも高配当株投資自体が多くの資産を生み出してお金持ちになったかのように書かれています。
しかしながら、どの書籍を読んでもお金持ちが高配当株投資を実践しているだけで、高配当株投資のインカムゲイン(配当金)とキャピタルゲイン(売買差益)が多くの資産を形成したわけではありませんでした。
つまり普通の人にとっては、インフルエンサーの真似をすること自体がめちゃくちゃ難しいことなのです。
これまでに読んだ書籍
- バカでも稼げる米国株高配当投資
- 本気でFIREをめざす人のための資産形成入門 30歳でセミリタイアした私の高配当・増配株投資法
- オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資 ど素人サラリーマンが元手5万円スタートでできた! 他
これらの本に共通する点は、次のとおりです。
- 倹約生活
- 積み立て投資の継続
- 入金力の高さ(高収入)
この点だけを真似すれば高配当株投資による配当金生活は実現可能かもしれません。
実際には、この3つを真似するのが難しいわけですが…。
共通点からわかることは、「高配当株投資という投資の手法が大事なポイントではない」ということ。
著者の方々は高配当株投資という手法を選んだだけであり、インデックス投資で同じことをしても結果は大差なかったかもしれません。
つまり、冒頭で述べたように高配当株投資自体が資産を形成したわけではなく、自身の倹約生活&高収入による入金&積み立て投資の継続が資産を築いた、と言えます。
インフルエンサーの銘柄選定を真似することは多くの危険がある
個別株のリスク
高配当株投資を推奨する書籍では「おすすめの銘柄」がたくさん紹介されています。
本を読んだ人にしてみれば「同じ銘柄を買えば自分も憧れの配当金生活が…!」と、考えたくなるところです。
しかし、そのおすすめ銘柄は20年、30年後に存在しているかさえわかりません。
あくまで、今までの経営状態が好調だったから安定した配当金を産んできただけであって、未来の配当金を保証するものではありません。
東京電力株を東日本大震災以前より保有していた人が「まさかこんなことになるとは思わなかった…」と感じたように、未来のことは誰にもわかりません。
分散投資の難しさ
個別株のリスクを軽減するためには分散投資の必要性が出てきます。
そのため、高配当株投資は1つの高配当銘柄を保有すればよいのではなく、いくつかの銘柄に分散投資をする必要が出てきます。
先ほどの個別株リスクを軽減するために投資先を分散し、1つの投資先に万が一のことがあっても資産全体のダメージを少なくすることが目的です。
分散投資をする上での保有銘柄数は人によりけりですが、20銘柄前後でポートフォリオを組んでいるパターンをよく見かけます。
ここで難しくなるのが「リスクの推計」です。
個別株にはそれぞれの銘柄自体のリスク(ぶれ幅)があります。
1つの銘柄だけで考えるのであれば、そのリスクから資産全体のリスクを推計することも容易です。
しかし、これが20銘柄ともなると、もはやリスクの推計は不可能です。
中には独自の手法でリスクの推計を試みている人もいるかもしれませんが、普通の人にとっては困難を極めます。
高配当株投資を謳ういずれの書籍においても「リスクの推計」には触れておりません。
インフルエンサーの真似をして高配当株投資を始めてみたものの、自身のポートフォリオのリスクが思った以上に大きく、リスク許容度をオーバーすることだって十分にありえます。
ただ単純に銘柄を増やせばリスクを軽減できるわけではないので、普通の人が高配当株での分散投資をすることの困難性は想像以上に大変なことになります。
情報発信の停止
インフルエンサーが情報発信を突然停止することもあります。
また、今まで推奨していた銘柄を突然売却し、別の銘柄を急に買い始めることもあります。
このような情報に振り回されていては、心休まる暇がありません。
結局は、自分自身で考えに考えて投資を継続していくことになります。
投資が趣味でも仕事でもない普通の人が、そこまで時間を割いてまでしても、満足の結果が得られるかは疑問です。
もし高配当株投資を始めるなら、「自分がインフルエンサーになる!」ぐらいの気持ちで高配当株投資先を選んで情報発信をしていくことが成功の秘訣とさえ思います。
高配当株投資のインフルエンサーから学ぶべきことは?
高配当株投資をしているインフルエンサーから学ぶべきことは、おすすめしている銘柄を買うことではありません。
真似すべきところは次のとおりです。
- 倹約生活
- 積み立て投資の継続
- 入金力の高さ(高収入)
特に10年でFIREしたい!と考えているような人には、「高収入」が超重要ポイントになります。
倹約と投資の継続は再現可能ですが、高収入は本人の努力によるところが大きく、何もしなければ再現不可能です。
インフルエンサーの投資手法を真似るよりもまず先に、これらの実現に向けてできることを進めて行くことが大事です。
まとめ
本記事をまとめます。
高配当株投資インフルエンサーの真似すべき部分は、銘柄選定などの投資手法ではない。
真似すべき部分は、倹約生活&高収入による入金&積み立て投資の継続である。
投資が趣味でも仕事でもない普通の人が、高配当株投資のインフルエンサーの真似をしても、目標とする配当金生活には程遠い結果になることもありえます。
人生に一度きりの長期投資を、インフルエンサーの真似をすることで後悔することはないかどうか、いま一度十分に見極める必要があります。
配当金生活は実現可能?