本記事では、投資信託クリニック代表カン・チュンドさん著の「つみたて投資の終わり方」レビューを交えながら、投資の終わり方について考えてみます。
本書をざっくり要約すると次の3点が大事なポイントとして見えてきました。
ちなみに、本書は高配当株戦略を推奨していませんので、つみたてNISAなどでインデックス投資をつみたてている方向けの本です。
どんな人におすすめできる本?
「つみたて投資の終わり方」
本書をおすすめできる人はこんなヒト
- 最近、投資を初めたものの終わり方のイメージが全くついていない
- インデックス投資だけでは取崩し期が心配で、高配当株投資に興味が湧いている
- 取崩し期の暴落時の資産配分のリバランスのやり方が知りたい
最近では投資ブームのためか、SNSのインフルエンサーの方々が思い思いの本を出されています。
かれこれ10冊以上は読んできましたが、どれもこれもリターンにばかり注目して、「投資のリスク」にはほとんど触れていません。
その中でも本書は、投資のリスクに深く焦点を当ててはいないながらも、暴落時の取崩し方など、暴落が来ることは大前提の「つみたて投資の終わり方」を展開されていました。
その点では、インデックス投資をしている誰しもが実現可能であり、「つみたて投資の終わり方」を考えるきっかけになるとても良い本だと思いました。
つみたて投資には2つの期間がある
「つみたて投資の終わり方」では、この2つの期間があるとしています。
つみたて期間は言わば山を登るイメージ、取崩し期間は山を下りるイメージ
何ともわかりやすい表現です。
コツコツつみたて投資してきた資産を少しずつ取崩していくのが投資の終わり方としては、定石であると私も考えます。
つみたてNISAなどの非課税枠で投資してきた資産をタイミングよく全額売却なんてことは、机上の空論でしかありませんからね〜🤔
取崩し期へ向けた準備をする
本書では資産形成における「資産配分」の大事さを図を用いてわかりやすく表現しています。
例えばですが、総資産4,000万円でリタイアした人は次のような資産配分に。
安全資産:リスク資産 = 50:50
つまり、安全資産2,000万円、リスク資産2,000万円といった具合です。
このような状態をリタイアの5年前から準備していきましょう!
というような具体例がいくつかあり、自身のライフプランシミュレーションへの参考になることは間違いありません。
また、初めて触れた考えで興味深いのが、「取崩しの練習をする」というもの。
確かに20年〜30年もの間つみたてて来ただけの人にとっては、いきなり取崩しを経験するというのは感情が追いつくのかどうか疑問が出るところです。
本書では定率取崩しを推奨されていますが、実生活においては、いつ大金が必要になるかは誰にも予想ができません。
となると、いざという時に慌てないためにも取崩すための練習は非常に有効であると思えます。
取崩し期に暴落を迎えたらどうする?
取崩し期の暴落への対処法は誰もが不安に感じているところかと思います。
全米株式であろうと全世界株式であろうと、バランスファンドであろうとも、何年投資し続けたとしてもリスク資産であることに変わりはありません。
リーマン・ショック級の大暴落を迎えれば、リスク資産が半減することも十分にありえます。
本書ではこの点を踏まえ、常にアセットアロケーション(資産配分)の比率を保ちながら取崩し続けることを推奨しています。
年に一度、リバランスを兼ねた取崩しを行いつつ、資産配分を維持していきましょう。
といった具合です。
資産配分の維持を実現するためには、当然ですが、家計簿、年間の収支、ライフプランシミュレーションが必須となることは言うまでもありません。
本書では、つみたて投資の終わり方について焦点を当てているため、ライフプランにまでは言及していません。
しかしながら、支出のスリム化を図る大事さについて述べることで、長期的な目線で老後を迎えることの必要性を説いているように感じます。
取崩し率は3%
本書では、一般的な4%ルールではなく「総資産からの3%」といった取崩しを推奨しています。
これは、インフレ率を考慮しつつ、資産の大幅な減少は避けることができる取崩し率であると思えます。
かの有名な「ウォール街のランダムウォーカー」においても取崩し率は3.5%を推奨していました。
将来のリターンが約束されていない以上、リスク資産の期待リターンはファンドの期待リターンよりやや小さく見積もる方が良いのかもしれません。
過去のリターンが7%あったとしても、これからの50年がそうなるとは限らないのが投資です。
「つみたて投資の終わり方」まとめ
本書を一言でまとめるとするならば…
資産配分を守りつつ、年率3%で取崩し続けながらも、投資を生涯続けていきましょう。
あとは個々人が資産配分を決めることで、誰にでも実現可能な「つみたて投資の終わり方」であると言えます。
なお、高配当株投資でこのやり方はかなりの高難度となるため、インデックス投資に適した終わり方であると考えます。
この終わり方に付け加えて私個人の考えをプラスするなら、公的年金の繰り下げ受給を検討していきます。
長生きの可能性が高まる未来にリスク資産をある程度使い切ってしまったとしても、年金繰り下げ受給による受給額アップは大きな支えとなるのでは…?
と、考えています。
また、老後2,000万問題なんて話はありますが、リスク資産だけで2,000万円用意するわけにはいかないので、安全資産の準備にはリタイア前から十分に考えておく必要があります。
そもそも今では老後2,000万円問題は存在しませんが…。
最終的には身も蓋もない話になりますが、ライフプランシミュレーションをしながら自分にとって最適な資産配分を模索してみるしかないんですが…。
とはいえ、本書は「つみたて投資の終わり方」がイメージできないヒト向けの読みやすくもわかりやすい本でした😊
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